クーリングオフ制度について
●クーリングオフとは
約束は守らなければならないのが原則
民法上の原則からすれば、いったん契約を締結したなら約束を守らなければなりません。一方的に契約を解除したり、内容を変更するのことはできないのが原則です。
しかし、クーリングオフ制度は民法上の原則の例外です。 それでは、なぜこのようなクーリングオフ制度が設けられているのでしょうか?
たとえば、訪問販売などの場合、商品や取引に関する知識などについて販売業者は消費者に対して優越しており、駆け引き等に不慣れな消費者が
業者の巧妙な手口や高圧的なセールスに押されて、契約をしてしまうケースがよくあります。
そのため、消費者に対して一定期間だけ頭を冷やす期間を与え、申し込みの撤回または契約の解除 を認める、民法の例外としての制度が『クーリングオフ制度』です。
クーリングオフできる取引契約
1、特定商取引法など法律によって定められているもの
2、業界の自主ルールによって定められているもの
3、個別の業者との約款(契約書の条項)によって定められているもの
があります。消費者が一方的に契約の解消を相手方に認めさせる制度ですから、有効な消費者の救済制度といえます。
クーリングオフには一定の条件が必要
1、クーリングオフできる場合かどうか(クーリングオフできる取引契約が限定)
2、クーリングオフの期間内かどうか
3、クーリングオフの通知を書面ですること
そのためクーリングオフをする時には『内容証明』で行います。
Q…口頭にによるクーリングオフの効果はどうなるの?
A…口頭による解約の通知等を立証できる場合は有効であると解することができますが、しかし、現実問題として立証することは非常に難しいと思われます。そのため、クーリングオフは必ず「内容証明郵便」で行うことが望ましいです。
●クーリングオフできる取引契約
≪法律により定められているもの≫
取引内容 | 期間 | 適用対象 |
訪問販売 | 法定の契約書面の 交付の日から8日間 |
指定商品・指定権利・指定役務・現金取引のときは3千円以上の取引 |
電話勧誘販売 | 法定の契約書面の 交付の日から8日間 |
指定商品・指定権利・指定役務・現金取引のときは3千円以上の取引 |
マルチ商品 (連鎖販売取引) |
法定の契約書面の 交付の日から20日間 |
すべての商品・権利・役務 |
特定継続的役務提供 | 特定の書面の 交付の日から8日間 |
5万円以上のエステサロン・語学教室・家庭教師・学習塾などの指定役務 |
業務提供誘引販売取引 | 法定の契約書面の 交付の日から20日間 |
すべての商品・権利・役務 |
割賦販売法 クレジット契約 |
クーリングオフ制度の 告知の日から8日間 |
店舗外での指定商品・指定権利・指定役務に関する取引 |
現物まがい商法 | 法定の契約書面の 交付の日から14日間 |
指定商品・指定された施設利用権 |
海外先物取引 | 海外先物契約(基本契約) 締結の日翌日から14日間 |
指定取引所における指定商品の取引事務所以外の場所での取引であること |
宅地建物取引 | クーリングオフ制度の 告知の日から8日間 |
宅地建物取引業者が売り主である宅地建物の売買・店舗外での取引 |
ゴルフ会員権等 規制法 |
法定の契約書面の 交付の日から8日間 |
50万円以上のゴルフ会員権で新規募集のもの |
投資顧問契約 | 法定の契約書面の 交付の日から10日間 |
投資顧問業者(許可業者)との契約、ただし、清算義務あり |
保険契約 | 書面の交付又は第1回保険料支払日から8日間(いずれか遅い日) | 1年をこえる生命保険契約・損害保険契約で営業所外での契約 |